2015年3月16日月曜日

キトピロ

昨年の夏、静岡に向かう途中で道の駅に立ち寄りました。

そこで、偶然、行者にんにくの苗を見かけ、北海道にいた頃の記憶が蘇り懐かしくなりました。

せっかくだから苗を買い、家のそばに植えました。

毎日、欠かさず水をあげ、暑さを乗り越えた苗。

涼しくなった秋の中頃、苗の異変に気がつき、少しずつ元気がなくなり始めて枯れてしまいました。

そこに在ったはずの姿は跡形もなく、最初から何もなかったかのようないつもの景色。

やっぱりここでは無理だったのかなと思っていました。

それが最近、庭で雑草と入り混じって、雰囲気が少し違う植物が生えているのを見つけました。
よく見てみると、そこは昨年行者にんにくの苗を植えた場所でした。

「おおぉ!」 と驚きつつも、生命の持つ力に感動しました。

見えなかった土の下で生命が在ったんだね。

そこで育んだものが、いくつもの小さな芽を出していました。


妻の協力があって、土の中で大切にしたいことを育んできた時間。

ここ最近になって、ようやく僕も土から芽をだしていきたいと思えました。

心の器から、想いが僅かだけれど溢れたのを感じ始めたからです。

彫った木を通して、想いやそこに在った幸せな時間、届けられたらいいなと思います。









2015年3月6日金曜日

手紙

今年の1月、さをり織り作家 酒寄剛史さんからの依頼で、展示会用の「特別なコート」に合わせるボタンを作りました。
展示会は終わってしまいましたが、完成したコートの写真と手紙を酒寄さんが送ってくれました。

写真を見ながら、酒寄さんいいもの創るなぁ~と惚れ惚れ。
そんなコートに僕のボタンを使ってもらえて、ありがたい。

そのコートは、吉祥寺の「Dear Moon」さんにお嫁入りしました。

僕はまだお会いしたことはありませんが、酒寄さんのコートを迎えた気持ちが書かれたDear Moonさんのブログを読んで、コートも幸せだなぁと思いました。

酒寄さんのものを作る気持ちが伝わって、たどり着いた場所なんだね。










2015年3月3日火曜日

羽根

 「生命のゆりかご」

ある冬の朝、
台所の窓から、羽根を膨らませ体を温めている一羽の鳥を見かけました。

その姿が強く印象に残っていた僕は、
命を温め包み守る姿を羽根に映しました。

羽根が包む空間に光が佇み、通り過ぎていく風が空へと誘いかけます。

2015年2月24日火曜日

お知らせ


期間:2015年5月30日(土)11:00~17:00
              5月31日(日)9:00~17:00

場所:あがたの森公園(松本駅から徒歩20分)
駐車場はございませんので、公共交通機関をご利用下さいませ。
雨天決行

住所:長野県松本市県1-2-15

☎:0263-34-6557


今回、クラフト部門で初出展させて頂きます。
木の命に向き合って、丁寧に丁寧に僕の仕事をしていこうと思っています。
この場所で、皆様とお会いできる日を楽しみにしております。

2015年2月17日火曜日

ピアス

オーダー頂いていたピアスが完成しました。

このピアス、実は2作目になります。
前回作ったピアスは、依頼者にアレルギー反応がでてしまったのです。

 「せっかく作ってもらったのに…」と申し訳なさそうなメールをもらい、そのことを知りました。
 依頼者の方も、天然木でアレルギー反応が出たのは初めてのことでした。
正直、何がアレルギーの原因だったのかはわからないと言っていました。

使った材は、シャム柿という削るのは少し大変ですが木目の美しい木でした。
シャム柿についていろいろ調べたところ、 人によってはアレルギー反応がでることが分かりました。

大きく穴を開けた耳に直にはめ込むこと、その密着性の高さ、人によってはアレルギー反応が出てしまうのかもしれない。使う材を誤りました。

既に薬で完治しているとのことでしたが、申し訳ないことをしてしまいました。

そして、その方から頂いたメールの最後の一文に驚きました。
僕にもう1度違う木でピアスを作って欲しいという依頼だったのです。

正直、返事に困りました。
他の木を使っても、もしかしてアレルギー反応が出てしまう可能性があるかもしれない。

しかし、他の材ではアレルギー反応がでなかったという確証を頂いたこと、問題のピアスをとても気に入ってくれていたこと、そして、熱意に打たれました。

今回のピアスは、前回のものと雰囲気が似た縞黒檀を使い、希望を受けてサイズをさらに大きくしました。

前回頂いた喜びではなく、2つ目のピアスを頼んでよかったと、喜んでもらえるような嬉しくなるようなものを目指しました。

きっと、それが今、僕ができる仕事。

前回のピアスは、依頼者がお洒落な方だったので、ボタンに加工しました。

「うつくしい!」
そして「あたたかい 」
とても喜んでくれた依頼者の言葉に、自分の仕事をしたと思えたのでした。



2015年2月13日金曜日

羽根

前回の苦い思いをバネにして、羽根を完成させました。

今回は、前回の目標をクリアし、何かひとつでも作業の中で発見がしたい!
少しでも良いものを目指し、思いついた小さな試み、刃を入れる角度、いろいろ試してみました。

羽根のイメージがふわふわと頭の中に浮かび、
ああしたらどうかな、こうしたらどうかな、そんなことを考えていると楽しく、それを形にする時はとても興奮します。

切れる彫刻刀で毛彫した羽根は、ある角度から太陽の光を浴びると光るんです。
キラキラというよりは、あまり表現が良くないですがギラギラと。
太陽の光の角度に羽根を合わせたりずらしたり、写真を撮りながら、光の移ろいに夢中になっていました。
羽根が光を浴びている時、実際は木なのですが、金属のような宇宙を感じる素材に感じることがあります。

羽根の探求は、僕のライフワークになりそうです。








2015年2月2日月曜日

羽根

「風の道」

今年の初めから、取り組み続けた鹿角の羽根が仕上がりました。

「鹿角の姿、美しさ」その感動と「羽根」を調和させたい、最初から最後までその意識で鹿角と対面し続けました。鹿角の声に耳を傾け、その中で僕ができうることを探していく作業。

その対話を繰り返し削りだされた鹿角の羽根の姿を、僕は探し続けました。

この羽根の製作期間、使命を持って生き道半ばで命を落としたある方のことをニュースで知り、度々、その方が脳裏を過ぎっていきました。
羽根がバランスを保ち天を見つめて立ってくれるよう鹿角を削る僕の想いと、その方への思い。制作の中で入り混じっていました。
命を何のために使うのか。
仕上げの最終段階に入ってもバランスを崩して立つことができなかった羽根を何とか立たせたい。
手探りしながら目に見えない羽根の重心を探していました。

信じる、絶対立つと信じる、諦めと迷いを吹きってそのことに集中しました。

作っている最中、壁にぶつかる度、できないというもう一人の自分が顔を出してきます。
けれど、いつもそれを乗り越えさせてくれる強い力は、今にも消えてしまいそうな微かな声で訴えかけている、自分を信じようとする心なのだと思います。

 命を何のために使うのか。その問いを繰り返していました。

僕は二人の師匠の作品に出会って、心が動いて、その作者に会いたくて足が動き、ひたすら手を動かし、いつの間にかこの彫る仕事をしていました。

自分の仕事に対して、とても厳しくて、真剣で、曲がったことを許さない、話せば優しくて人間臭い、人の道をいく二人の師のように、この彫る仕事と共に生きたい。

そのように生きて、何かが人に伝わっていったら嬉しく思うのです。

羽根が天を見つめて立ち、光を浴びて影ができる時、物語の風が吹き始めます。


「風の道」

その人たちにいのちを与えたものは風

わたしたちにいのちを与え 

今わたしたちの口を付いてでるものも風

風がやむとき わたしたちは死ぬ

今でも指先の皮膚のしたに風の道が見える

それはわたしたちの祖先が創られたとき

風が吹いていたことを今に伝えている

ナバホインディアン


















2015年1月27日火曜日

小さい羽根

「もう少し小ぶりの羽根はないですか?」
以前、幾人かの方にそのような質問を頂きました。

その時は、羽根のサイズが長さ7.5cmのもので精一杯でしたが、
日々、昨日の自分を超えようと作業を繰り返すうち、写真のようなサイズ(長さ5.5cm)まで形にすることができました。

苦労した点は、羽根のサイズが小さくなったことで、より細やかな感覚が必要とされたことです。
いつもと違う感覚に戸惑い、作業も途中から進みませんでした。
このまま事を先に進めようとしても、うまくいかないような気がして少し時間を置くことにしました。

その間、オーダーの細かい作業に取り組み、その結果、細かいものに感覚が慣れてきました。

「せっかくここまでやったんだから最後まで仕上げよう」時間を置いたことで気持ちもスッキリし、勢いで仕上げました。

「次へのステップが見えてくるもの」それが今回の課題だったので、
実際に出来上がったものを見て、嬉しくなりました。

こうして一つ完成すると、そこにまた次へのステップが生まれてきます。

そう簡単には乗り越えさせてくれないステップばかりですが、
そこに新たな可能性を感じる喜び、 それに取り組めることに感謝して、また仕事場の椅子に座り木と対面したくなるのです。







2015年1月21日水曜日

スプーン

この木が生まれ持った姿、その美しさ。

それに、出会うとワクワクします。

この木にしか出せない音があって、それを聴いて、それに合わせて僕も音を出してみる。
 
それが楽しい。

「Wonder」 木の中にそれを発見して創る楽しさ、そんな遊びが僕は大好きです。

2015年1月8日木曜日

ボタン


さをり織り作家 酒寄さんからの依頼で、展示会用の「特別なコート」に合わせるボタンを作りました。

初めての試みは、毎回、新しい驚きと発見で満ちている。
「Wonder」それに出会うといつも心が震える。
子供の時の冒険は、今も創る時間の中で終わらない。

ひとつひとつコートに込められた真心、どんなふうに仕上がるんだろう。



 「ヒトヒトトナリ」
ようようさん(紡ぎ、編み) 酒寄剛史(さをり織り)2人展

2015年1月19日(月) 13:00~22:00
2015年1月20日(火) 13:00~19:00

会場 COFFEA EXLIBRIS (コフィア エクスリブリス)

東京都 世田谷区 代沢5-8-16 Tel 050-1516-6554

2015年1月7日水曜日

新年

「光と風」



羽根を彫っている時、僕は自分の道を歩いていると実感します。

可能性を信じて、まだ見ぬ未知を歩いていきたいと思います。





本年もどうぞ宜しくお願い致します。


2014年12月30日火曜日

家族

オーダーを頂いていた箸と箸置きが出来上がりました。

箸袋は妻に作ってもらいました。
3人分の箸袋にポケットが6つ、なぜかと聞くと家族が増えてもいいように、とのことでした。
妻らしい発想だなと思いました。

箸には星を3つ、箸置きは葉っぱと花をモチーフにしたものをという依頼でした。

箸には、楢(ナラ)、槐(エンジュ)、クルミの木を使いました。

お父さんの箸 楢の木は、どのような強風が吹いても倒れないと言われてます。

お母さんの箸 槐の木は、縁を授かるで縁授、延寿など縁起を担いだ木です。

お子さんの箸 クルミの木 手にふれる感触でクルミの木を選びました。


箸置き いくつもの花が一つに集まって咲いている姿から
「家族の結びつき」 を象徴する紫陽花をモチーフに選びました。

普段、どちらかというと強度や耐久性などのことを一番に考え、使う木を選んでいましたが、近頃は、その木の持っている意味を大事にしてもいいのではないか、と思うようになりました。

その人(使い手)にとって、
一番大事なことって何だろう、と考えるようになったからです。

この箸を渡すあの人の気持になって、受け取った方の幸せを願って。






2014年12月23日火曜日

フォーク

ある日、森の中、クマさんに、出会った、フォーク♪

こういうのもまた面白いかな。

2014年12月16日火曜日

屋久島の木たち

屋久島の森の旅人 健太さん奈央さんから屋久島の木たちと牙が届きました!

黒っぽい木が、まだ学術的に解明されていない炭化したnociw wood(健太さん命名)

「ジュンくんならきっとこの木たちを活かしてくれると思い、あと、屋久島の木の素晴らしさを体験して欲しい」と、健太さんが、山桜、栂、檜、屋久杉も入れてくれました。

 屋久島の木霊たち、ここまで来てくれてありがとう。


健太さんと奈央さん、ありがとう!





2014年12月10日水曜日

スプーン

前回、作ったスプーンを踏まえて次への展開。




2014年9月28日日曜日

寄り添う


友人の結婚のお祝いにと、ご注文頂いたスプーン。

旦那様は、ウォールナット
奥様は、エンジュ

材は違いますが、仲が良さそうです。

2014年9月25日木曜日

探求


5年前、木彫りの羽の製作に挑戦しました。

「いつか作ってみよう」
頭の中では出来上がっていた羽のイメージ。
彫刻刀を持つ手を動かす度に、何度も描いた羽のイメージで気持ちが熱くなりました。

しかし、
出来上がったものは僕の熱を一瞬にして奪っていくほど散々なものでした。
当然、僕の力不足もありました。

けれど、一番ショックに感じたことは、木では思い描いた羽の質感を作ることはできないんだと思ってしまったことです。

それから、作品に感銘を受けた根付師の齋藤先生の下で基礎的なことを学びました。
木彫りをしてきた僕にとって、根付での木のアプローチの仕方に衝撃を受けました。

そこから、僕は少しずつ羽の試行錯誤を繰り返し手応えを掴んでいきました。

そして、ここ最近作った一連の羽は、あるきっかけから再び挑戦し作ったものです。

2014年9月15日月曜日

修理、受け付けてます

数年前に作った髪留めです。

持ち主の方がアフリカを旅していた途中、ビーズが割れてしまったとのこと。

修理で手元に届いた髪留めを見て、とても嬉しくなりました。

木の柔らかい光 大切に使っていてくれたんだなとわかりました。

そして、未だ自分の未熟さを切々と感じながらしているものづくり。
ひとつ気づいたことがありました。

それは、その時にしか感じられない、その時にしかつくれないものがあるのかもしれないということです。

その時そこに在った気持ちの表れ。その時の精一杯の仕事。





2014年8月3日日曜日

新しい場所






今日はとても嬉しいことがありました。

今年の4月にオープンしたセレクトショップ「mandore」さんに、
yagateの木彫りを置かせて頂くことになりました。

場所は、長野県の上諏訪。

長野県出身の僕にとっては、とても嬉しいことです!

店内にはオーナーの小平さんが海外で買い付けてきた古着や雑貨、作家さんの作品が
とてもセンスよく並んでいます。

そして、店内の隅に置かれたテーブルでは、
海外の瓶ビールとオーナーお手製のチャイを飲むこともできます。

これから、yagateもmandoreと一緒に楽しいこと、
実のあること、共有していけたら、と思います。

僕たち夫婦もいっぺんで好きになったmandoreと小平さんに、
皆様会いに行ってみて下さい!

〒392-0003 長野県諏訪市上諏訪1753-3 TEL.0266-78-3166 FAX.0266-78-3167






2014年8月1日金曜日

眼差し



亡くなった師匠はよく好んでニマを彫っていました。

僕は師が彫ったニマが大好きでした。

そこにいつも、木を尊敬する師のまなざしがあったからです。




 木を尊敬するってどんなことだろう?

その問いに、僕は木を彫ることで答え続けていきたいと思うのです。